上毛新聞 「週刊すみかくらぶ VOL.328」 2004年8月5日掲載住宅
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- 上毛新聞 「週刊すみかくらぶ VOL.328」 2004年8月5日掲載記事より
自然素材で憩いと潤い
「さわやかでぬくもりのある木肌の味わいに惹かれました。木の家は気持ちが安らぎます」とご主人は話す。朝起きて無垢の木の素朴なダイニングで一杯のコーヒーを味わうひと時が最高だ。
人体や環境に負担のない安全な自然素材だけで、快適な暮らしを築いているのがこの家の特徴。床や天井はパイン材。壁はワラ入り漆喰や珪藻土が塗られ、空気がきれいで湿気がこもらない。「羊毛の断熱材を使っているので、断熱効果だけではなく土壁のような水分の調節作用があり、それも心地よく暮らせる理由です」とオオガネホームの大金専務が説明してくれた。床下には南牧村産の調湿炭が敷き詰められ、開口部には木製ペアサッシガラスが使われている。
家の中はゆったりと吹き抜けが広がり、5つある天窓などから風が良く通るので「夏の不快指数はゼロ。憩いと潤いのある生活ができます」と奥様は話す。
羊毛の断熱材に桧丸太の大黒柱
リビングには、伊勢神宮の御用材にもなる静岡産の桧丸太がそびえ立つ。太い梁や柱を現したどっしりとした安心感のあるつくり。「どの家よりも落ち着く」と近所の人にも好評だ。「軒の出を深くして、夏の直射日光をさえぎり、冬の陽光を取り込むようにしてあります」と棟梁は話す。玄関にはケヤキの敷台やベンチを設け、靴の収納には玄関のとなりに分けてつくった。
愛犬家のこの家には2匹のラブラドールと3匹のヨークシャーテリアがいる。犬舎は南部地方の曲屋のように、同じ屋根の下に設けて家族といつでもふれあえるようにした。キッチンや収納なども木をふんだんに使って建てたので、刻みや施工の大工仕事は半年かかった。「開放的ですっきりしているのに、使いやすい工夫がいっぱい。一生懸命つくってもらいました」と奥様は満足そうだ。
薪ストーブ用にナラの苗を植林
「夜、無垢材の床板に寝ころがり、天窓の向こうにまたたく星を眺めるのも最高ですね」とご主人は話す。自然の中に溶け込んで遊ぶことが大好きだが、この冬は家の中にいることも増えてきた。「薪ストーブがこんなに楽しいとは思いませんでした」。仕事が終わると、ストーブの前で薪を燃やし、揺らぐ炎の前で心と体をのんびりと癒す。家全体がこれで暖まり「真冬の朝でも20度以下になったことがないんです」とご夫婦は驚く。
この春、ご主人は薪に使うナラの木の苗を自分の山に植林した。木の家に暮らしていると、自然や環境の大切さがよくわかる。「木を切って使ったら木を植えて育てる」。また一歩、自然の中に溶け込んだ気がした。